
取引時の重要事項説明、録画配信スタートへ
―進むデジタル化、AIによる重説支援も検討

取引時の重要事項説明、録画配信スタートへ
―進むデジタル化、AIによる重説支援も検討
不動産取引時の重要事項説明を、録画配信で行う「ビデオ重説」が年内にもスタートする。宅地建物取引士(宅建士)が事前に収録した動画を使い、重要事項説明を行う仕組みで、従来のIT重説で必須とする宅建士のリアルタイム立会いを不要とする。取引のデジタル化を進める新たな制度となる。
不動産取引を巡るデジタル化は、書面電子化やIT重説など、重説を中心に段階的に進められてきた。賃貸取引ではIT重説が広がり、押印廃止や書面電子化が制度化。宅建士のテレワークも認められ、業務の柔軟化が進展してきた。今回のビデオ重説は、こうした流れをさらに進める施策となる。
新制度では、宅建士が重要事項説明を録画し、契約希望者はその映像を任意のタイミングで視聴する。リアルタイムの接続や日程調整が不要となり、双方の負担が大幅に軽減される。説明が2~3時間に及ぶ場合でも、倍速再生や分割視聴が可能となり、利用者の利便性は大きく向上する。宅建士側も繁忙期に同じ説明を繰り返す必要がなく、新築分譲マンションのデベロッパー、販売会社にとって業務効率化の効果が大きい。
一方で、双方向のやり取りがないことによる理解度の確保や、質疑応答の機会をどう担保するかが課題となる。視聴後、質問時間の確保や合意文書の取り交わしを条件とする方向性が示されており、国土交通省ではガイドラインやマニュアルを整備する。
不動産取引のDXは進んでいるものの、IT重説や書面電子化の実施率は依然として2割未満にとどまる。国交省は28年度に30%まで引き上げる目標を掲げており、今回のビデオ重説導入はその達成に向けた重要な一手となる。さらに、説明書の読み上げや要約、契約書作成補助といったAIによる重説支援も検討されており、取引のオンライン化は一段と加速する見込みだ。
2026.07.31