マネーロンダリング、狙われる不動産

―疑わしい取引、宅建業者に届出要請

 麻薬取引、特殊詐欺、汚職、サイバー犯罪など、不正で得た資金を正当な資金に見せかけるマネーロンダリング。「資金洗浄」といわれ、世界の犯罪組織や汚職政治家、国家レベルでも行われ、その額は日本円にして年間300兆円前後とも推計される。

 特に法人名義や海外法人を使い、実質支配者を覆い隠し、多額の資金を置き換えられる不動産は悪用されやすい。世界では、ロンドン、ニューヨーク、ドバイがマネロン不動産の温床とされるが、日本の不動産も例外ではない。市場の安定性や治安の良さなどから海外組織から「安全な避難先」として狙われている。特殊詐欺グループが資金を不動産に換え、名義を転々とさせて追跡を困難にしたケースもある。警察庁の推計では「ここ数年で不動産取引を目的とする疑わしい取引は、件数で1000件以上、金額では1000億円以上」としている。

 ただ、疑わしい取引の届け出状況は、金融機関が年80万件近くあるのに対し、宅地建物取引業者からは僅か25件と極端に少ないのが実情(2024年)。国際機関から厳しい目が向けられる中、国土交通省は、宅建業者に対し、マネロンリスクの特定・分析を課したほか、不動産マネロン対策のチェックリストを示し、疑わしい取引の確実な届出を求めた。

 チェックポイントは、「多額の現金により、購入しようとしている」「契約者である法人の実体がない」「同一人物が短期間のうちに宅地建物を売却しようとしている」―など。チェックリストの一つにでも該当すれば届出を要し、該当するかどうか迷った場合は、疑わしい取引に該当するとした。中小の事業者レベルでは、なかなか手が回らない実情がネックとされてきたが、国としては、判断基準を明確にすることで届出の円滑化を図ろうとしている。

2026.05.29