三井住友トラスト研、不動産トークン市場は拡大加速

―投資需要の喚起に向け出口戦略が重要

 三井住友トラスト基礎研究所は、不動産セキュリティトークン(ST)市場に関するレポートをまとめた。21年に日本初の公募型不動産STO(Security Token Offering)が発表され、26年3月末時点に対象不動産の鑑定評価額ベースでの資産規模は7000億円超に拡大。特に25年以降は裏付け資産の不動産が大型化し、25年下期以降に500億円超の物件が2件、1000億円超の物件が1件組成されるなどST市場の拡大が加速したという。

 レポートでは、対象不動産が大規模になってコスト効率が向上し、エクイティ投資家にとってパフォーマンス改善につながり、資金流入が更に促進される好循環ができたと分析。ST市場の更なる拡大には、個人投資家層の裾野の広がりが重要とする。27年1月以降は、相続・贈与における税制改正で不動産資産の節税効果は従来より薄まると見込まれるため、不動産の持つ収益性やインフレ耐性といった効果への期待が高まり、一部資金の流入に期待できると指摘する。

 不動産STは、既に複数のファンドが当初想定の運用期間より早期に償還済み。運用会社が投資家利益の最大化を図り、キャピタルゲインの影響で当初想定利回りを上回る運用実績利回りとなった。運用実績の事例ができたため、今後は運用期間終了時の対象不動産の売却先やバリューアップのプランなど出口戦略について投資家とイメージを共有することが、投資需要の更なる喚起のために重要と捉えている。売却候補としては、不動産STの対象不動産はLTV水準が40~80%程度まで広く分布しており、高めのLTV水準の物件はJリートや私募リートではなく、私募ファンドが有力な候補になるとみられる。

2026.05.01