相次ぐ容積緩和、都市整備を促すか

 ―国はコンパクトシティ、都はアフォーダブル住宅

 都市整備を促進する強力な政策ツールとされる容積緩和。2000年代初頭には「六本木ヒルズ」や「東京ミッドタウン」で使われ、近年も福岡の「天神ビッグバン」が日の目を見ている。ここにきて国土交通省は、地方都市のコンパクトシティ化を推進する狙いで、また、それに先がけ、東京都ではアフォーダブル住宅(割安住宅)を整備するため、相次ぎ、都市開発の容積緩和策を打ち出している。

 容積緩和とは、歩行者空間や広場、防災機能などの公共的貢献を行うデベロッパーに対し、割り増しの建築面積が与えられるインセンティブ制度。デベロッパーは公共貢献を行う代わりに、割り増し床を売却や賃貸することで収益を見込むことができる。このたび、国が新たに適用対象とするのは、地方都市中心部のオフィスや集客施設(ホテルやアリーナなど)の整備。これまでの病院や商業施設から貢献対象を広げ、地方都市の「職住近接」を推し進めるとともに、まちの活性化を図る。加えて、集客施設では、開発後の継続的なイベント開催など、ソフト運営も評価対象とすることで、これまでの開発・ハード面一辺倒の誘導策から脱皮する。

 一方、東京都のアフォーダブル住宅は、マンションや複合施設の開発で、賃貸住宅を子育て世代などに対し、相場の8割以下で貸し出す場合、住戸数に応じて容積を緩和する。また、アフォーダブル住宅を整備した場合、近隣の別の開発物件に容積緩和を適用することも可能とする。

 ただ、ビル・マンション開発を巡っては、人手不足やインフレに起因する建築費高騰が直撃しているのが実情。割り増し容積をもらったとしても建築費と折り合いを付けられるか、また、地域によってはテナントや集客が得られるかなど、一直線に都市整備が進むとは言い切れない課題もある。

2026.02.27