政府外国人施策が本格始動

―違法外国人ゼロへ、不動産関連も対象

 政府の外国人施策が本格始動した。違法入国・就労をはじめ、外国免許切替え(外免切替)による交通事故や社会保険料未納付、オーバーツーリズム問題などを受け、外国人施策の司令塔組織「外国人との秩序ある共生社会推進室」が立ち上げられた。取り組みには、国土の適切な利用・管理として都市部のマンションも想定されているほか、民泊経営を口実とした在留ビザ取得が増えているなど、不動産関連も対象とされている。

外国人問題を巡っては、少子高齢化や人口減少が進む中、一定の範囲での外国人労働者の受け入れやインバウンド消費の拡大など、海外の活力を取り組んでいくことも重要課題。ただ、ルールを守らない外国人に対し厳格に対応し、「違法外国人ゼロ」を目指すほか、グローバル化を前提としていない制度全般を見直していく。これに先がけ、不法滞在者に焦点をあてた「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」をまとめていたが、自民党からの提言「国民の安心と安全のための外国人政策」を受け、総合的・省庁横断的な外国人政策への取り組みを始めた。

 不動産関連では、安全保障の観点から防衛施設周辺の土地利用を調査・規制する「重要土地等調査法」の施行により、実態把握が進められているが、水源地や利用目的が不明な大規模な土地、都市部のマンションなどの外国人購入も、実態がわからないこともあり懸念されていることに対処する。呼応する形で、国土交通省では、都内マンション所有者の実態調査に乗り出している。外国人による投資目的のマンション購入がマンション高騰の要因となっていないかを含め、海外居住者の都内マンション所有状況を探り、今後の対応に活かす。また、不動産を取得し、民泊経営を始める外国人が少なくない中、経営関係の滞在ビザ取得を目的とした開業が増えていることにも対処する。

グローバル化が進展する中、外国人の動向は掴み切れていないのが実情。まずは実態把握に務め、必要に応じて、規制策も検討する。

2025.08.01