
住宅建設、他産業に劣らない就労環境に
─国交省、技能者確保のビジョン作成へ

住宅建設、他産業に劣らない就労環境に
─国交省、技能者確保のビジョン作成へ
国土交通省の住宅分野における建設技能者の持続的確保懇談会(座長=蟹澤宏剛・芝浦工業大学教授)が、議論のとりまとめを公表した。大工などの住宅建設技能者は、急速な減少と高齢化が進んでおり、将来的な住宅供給が困難になると懸念されている。とりまとめでは担い手確保に向け重要となる4つの視点を掲げた。今後は4つの視点に官民で連携して取り組むための「中長期ビジョン」を策定する方針だ。
目指すのは他産業に劣らない就労環境。1つ目の視点として、「選ばれる業界・職場への変革」を掲げた。多くの住宅建設技能者が個人事業主の一人親方として働いている。これを正規雇用に転換し、いわゆる社員大工化を促進。安定した就労環境を目指す。正規雇用を前提に、月給制、週休2日、年次休暇などの整備を進め、不安定な業界のイメージを払拭する。
2つ目は「育成環境の整備」。業界団体と教育機関などが連携し、住宅建設技能者の重要性と魅力を発信する。若年入職者の離職を抑制するため、新たな育成体制の構築も進めていく。3つ目は「担い手のすそ野拡大」。入職が進んでいない女性や外国人が適切に働ける環境を整備し、高齢技能者の活躍も促す。働きやすい住宅生産現場の実現のため、住宅版快適トイレの普及、体格差を懸念せず作業できる工法や工程の整理も行う。住宅建設技能者が施主や地域住民を巻き込んでリフォームを実施する「コミュニティ大工」など、地域の担い手拡大のための方策も検討する。
4つ目は「マネジメントの強化」。事業承継、M&A、経営多角化など、地域工務店の経営基盤を強化する方策の検討を進める。複数工務店による協力業社会の運営や、バーチャルカンパニー化も検討する。
2025.11.20