歴史活かしたまちづくりのすそ野拡大へ

─国交省、歴まち計画の対象文化財見直し

 国土交通省は、歴史を活かしたまちづくりを行う都市の拡大を目指し、関連制度の見直し議論を進めている。歴史まちづくり法に基づく歴史まちづくり計画(歴史的風致維持向上計画)の核となる文化財の対象を広げ、より多くの自治体が地域の歴史的風致を活かしたまちづくりに取り組めるようにする方針だ。

 地域の歴史と文化を継承する建造物と周辺の良好な環境(歴史的風致)を後世に継承するため、「歴史まちづくり法」が制定された(08年11月施行)。市町村は、同法に基づく歴史まちづくり計画を作成し、核となる文化財と一体となって歴史的風致を形成するエリアを重点区域に設定。計画により、用途制限の特例を活用した建築物等の立地が可能になるほか、国の補助事業など支援を受けることができる。法施行以降、累計で100の計画が認定されている(25年7月末時点)が、近年は増加のペースが鈍化している。

 歴まち計画の「核となる文化財」に指定できるのは、国宝や重要文化財などに限られ、地方自治体や所有者が自主的に保護する登録有形文化などは対象外だった。こうした対象外の文化財のなかには毀損や滅失の危機に直面しているものもある。国交省の有識者による作業部会は、歴まち計画の認定を増やすため、核となる文化財の類型を見直す方針を示した。具体的には、登録有形文化財、自治体指定文化財などを加える考え。

 自治体の計画作成の負担も考慮する。文化財を保護する目的の「文化財保存活用地域計画」(文化財保護法)と連携させ、重複する事項を歴まち計画にそのまま記載できるよう運用を見直す。作業部会は、議論のとりまとめを12月に行う予定。

2025.10.17