国交省、住宅市街地の水害対策を強化

─避難経路・デッキ整備費用も支援対象に

 国土交通省は、水害で広範囲の浸水が想定される住宅市街地の対策支援を強化する方針だ。オフィスビルなどに水害発生時の避難者受入れスペースなどを設けることを支援してきた旧事業をベースに、新たに「避難場所に至るまでの避難路・デッキの設置」や「防災拠点などの浸水対策」も加えた総合的な支援事業の創設を検討している。

 新たな総合的支援事業は「住宅市街地総合整備事業(水害対策型)」として、26年度予算の概算要求に盛り込まれた。従来の「一時避難場所整備緊急促進事業」が対象としていた、オフィスビルやマンション、商業施設などに避難者受入れスペースや防災備蓄倉庫などを整備する場合の支援を、新事業で引き継ぐ。そのうえで対象に「避難路・デッキの設置」を加え、これらを設けるためにかかった費用の一部を社会資本整備総合交付金から支援することを想定している。

 旧事業では、避難者の受入れ協定を地方自治体と締結することが支援の要件となっていた。旧事業をベースにした強化版として検討している26年度新事業も協定要件は引き継がれる見通し。また、新事業では防災拠点などの浸水対策も支援対象に加えることを検討している。かさ上げ、1階のピロティ化といった浸水を想定した建物の床と地面の距離を離す対策に要する費用のほか、止水板の設置費用も支援したい考え。新たに防災拠点を設ける場合と、既存拠点への導入の両方を支援対象にすることを検討中。

 人口が集中する都市部では、水害の被害額が甚大になる。国交省によると、津波以外の単一の水害による被害額は19年の東日本台風で1兆8600億円。

2025.10.17