上期のJリート分配金成長率が大幅拡大

―三井住友トラスト研、含み益は過去最高6兆円

 三井住友トラスト基礎研究所(SMTRI)は、25年上期の「J―REITレビュー」を公表した。対象銘柄の中央値を取ると、1口当たりの分配金成長率は前年同期比+6・7%となり、24年下期の同+2・9%を大きく拡大した。NAV成長率は+2・4%で、同じく24年下期の+1・7%を上回った。

 対象銘柄の1口当たりの動向は、24年上期と比べて分配金成長率が約8割の銘柄でプラスとなり、約3割の銘柄で成長率10%以上だった。NAV成長率も9割超の銘柄がプラス。どちらも複合銘柄、オフィス銘柄、物流銘柄で好調だった。

 不動産売却益(ネット)は合計651億円で、24年下期の474億円から37%増加した。含み益は6・0兆円と過去最高額。含み益率は27・2%だった。物件譲渡で含み益を顕在化させているが、鑑定評価額の上昇による含み益の過去最高の更新も続いている。内部留保残高は合計1960億円。オフィス系銘柄を中心に内部留保残高は増加傾向だった。

 内部成長は25年上期の全銘柄のポートフォリオNOI利回りは平均4・82%。前年同期の4・75%より上昇した。オフィスセクターの稼働率上昇や賃料増額改定が貢献した。ホテルセクターも平均5・92%で19年上期の5・83%を上回ったが、銘柄によって差があるという。25年1~6月の発表では、外部成長で物件取得額が5471億円、物件譲渡額は4595億円だった。オフィスの資産入替が活発なほか、ホテルの取引が多かった。公募増資は3件、調達額は284億円と少額だった一方、自己投資口取得は16件、取得額は501億円。財務運営は、25年6月末でLTVが平均48・8%と24年12月末の48・2%より上昇した。

2025.10.03