
国交省、住宅業界の社員大工化を推進
─ 一人親方の正規雇用転換、入職者増やす
国交省、住宅業界の社員大工化を推進
─ 一人親方の正規雇用転換、入職者増やす
国土交通省は、大工など住宅分野の建設技能者の担い手不足に対応するため、住宅業界の「社員大工化」を進める。個人事業主の一人親方として働いている多くの住宅建設技能者の正規雇用転換を図る。有識者による懇談会のとりまとめ案に方針を盛り込んだ。他産業に劣らない就労環境とし、新規入職者に選ばれる業界・職場への変革を目指す。
大工就業者数は00年の65万人から、20年に30万人に減少した。35年には15万人まで減ると国交省は予測する。若年層の技能者に選ばれ、入職者を増やすには、安定した就労環境が必要になる。一方で、個社が住宅建設技能者を育成するには時間的・金銭的余裕がなかったり、業務に繁閑差があるため継続雇用が難しかったりと課題も多い。
有識者懇談会はとりまとめ案で、住宅建設技能者に施工管理や事務作業を担わせる「多能工化」を進めて繁閑差を縮小することや、複数社による共同研修・教育などの工夫で社員大工化を実現している先行事例を横展開し、一般化することを盛り込んだ。品質の安定化や施工管理や営業も担える人材に育成することもできるなど、社員大工化のメリットを周知していく方針。社員大工化を前提に、月給制や週休2日、適切な保険加入なども進め、不安定な業界というイメージの払しょくも図る。
このほか技能職の重要性と魅力発信、女性の入職促進、地域工務店の経営基盤強化(事業承継・M&Aなど)などの方向性を示した。26年度には、とりまとめ案で示した視点や方向性に基づく「住宅建設技能者の持続的確保に向けた中長期ビジョン(仮称)」の策定を進める。
2025.10.03