
国交省26年度概算要求、7兆812億円
─脱炭素住宅を普及、二地域居住の推進も
国交省26年度概算要求、7兆812億円
─脱炭素住宅を普及、二地域居住の推進も
国土交通省は26日、26年度予算概算要求と税制改正要望を公表した。概算要求は一般会計で前年度当初予算比19%増の7兆812億円を要求した。「国民の安全・安心の確保」「持続的な経済成長の実現」「個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり」の3テーマを要求の柱とした。各テーマに盛り込まれた不動産・住宅関連施策は以下の通り。
【国民の安全・安心の確保】▽気候変動による水害や土砂災害の激甚化に対抗する「流域治水」の加速に7636億円(前年度比+20%)を要求した。水災害リスクを踏まえた安全なまちづくりの推進、雨水排水施設の整備や耐水化等による都市浸水対策の強化などが含まれている。▽密集市街地対策や住宅・建築物の耐震化強化に231億円(+24%)を要求。密集市街地での建替えや改修などの防災対策の強化を進める。密集市街地の災害被害拡大防止のため無電柱化も推進する。既存建築物の火災安全改修の促進も盛り込んだ。
【持続的な経済成長の実現】▽脱炭素効果の高い住宅・建築物の普及や木材利用の促進などを通じた住宅・建築物の脱炭素対策等の強化に1178億円(+7%)を求めた。このなかには、ZEH、ZEB、長期優良住宅やライフサイクルカーボン算定への支援強化、木造の住宅・建築物の担い手の技術力向上等への支援が含まれる。▽グリーンインフラ、まちづくりGX等のインフラ・まちづくり分野における脱炭素化の推進には173億円(+19%)を要求した。エリア一体での脱炭素化、グリーンインフラの社会実装、都市の緑地に対する民間投資の促進、都市の脱炭素化に資する民間都市開発、都市の暑熱対策支援などを進める。▽ビジネスでの利活用に向けた地理空間情報等の充実、地籍整備等の推進、データ基盤・提供環境の整備には123億円(+28%)を求めた。デジタル化やESG投資等の新たな動向を踏まえた不動産投資市場の環境整備、不動産管理業の適正化・発展の環境整備などを進める。▽既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に334億円(+20%)を要求。既存住宅ストック活用の推進等のための不動産取引環境の整備や、良質な住宅ストックの適正な評価・流通・金融等に関する仕組みの開発支援に充てる。
【個性をいかした地域づくりと持続可能で活力ある国づくり】▽空き家対策、所有者不明土地等対策および適正な土地利用等の推進に113億円(+29%)を要求した。空き家対策でのDX推進、所有者不明土地・低未利用土地の円滑な利活用と管理を図るための取り組みへの支援強化を図る。空き家の流通活性化に向けた環境整備の推進もこの額から充てる。▽地方への人の流れを創出する官民連携による二地域居住等の推進・個性ある多様な地域生活圏の形成に584億円(+20%)を要求。暮らしに必要なサービスが持続的に提供される「地域生活圏」の形成、地域生活圏形成に資する基盤整備の推進に充てる。二地域居住等の促進に向けた先導的取り組みの支援、二地域居住住等の促進に資する広域基盤整備もこのなかから充てる。▽多様な世帯が安心して暮らせる住宅セーフティネット機能の強化に917億円(+36%)を要求した。公的賃貸住宅の建替え・改修と併せて子育て支援施設等を導入する取り組みへの支援が含まれている。▽ゆとりとにぎわいのあるコンパクト・プラス・ネットワークと地域資源を活用したまちづくりの推進に926億円(+20%)を求めた。まちなかの再生や域外から稼ぐ産業の集積等を通じた地方都市等の再生が含まれている。
2025.09.05