
社整審・不動産部会を3年ぶりに開催
―国交省、議題はインスペクション見直し
国土交通省は、社会資本整備審議会の産業分科会不動産部会(部会長=中城康彦・明海大学不動産学部長)を開く。開催は約3年ぶりで、テーマは制度導入から間もなく5年を迎える宅地建物取引業法の建物状況調査(インスペクション)の見直し。見直しのための下準備として、国交省はインスペクションの実施状況など詳細な調査を進めてきた。その結果をもとに、不動産部会で今後の方針を示す考えだ。
16年4月1日の改正宅建業法施行により、宅建業者には、媒介契約時にインスペクション業者の「あっせんの可否を示すこと」が義務付けられた。国交省の調査によると、インスペクションの実施率は法改正前に比べ増加しているが、あっせんを行っていない宅建業者が7割超(調査対象800社)存在していた。また、あっせんを行っている業者のなかでも、毎回必ず行う者とたまに行う業者が存在し、二極化している傾向があるという。
消費者への浸透も課題のひとつ。国交省によると、消費者がインスペクションを実施しなかった理由は、売主は「早く売りたかったから」や「取り壊して売る前提だったから」が多く、買主は「費用の負担」や「早く買いたかったから」といった理由が多いという。
こうした結果を受けて、国交省は部会で宅建業者側があっせんしやすい環境の整備を検討する。消費者に対するインスペクションの意義周知のあり方も見直す。特に物件と宅建業者との最初の接点となる売主側に対して、実施しないことのリスク周知を進める考え。このほか瑕疵保険や住宅ローンといった類似の検査との効率化なども検討素材となる見通し。
2022.03.31