新たにマンション政策の検討会を設置
―国交省、区分所有法の見直しと両輪で

 斉藤鉄夫・国土交通大臣は25日の定例会見で、今後進めるべきマンション政策を幅広く検討する有識者会議の設置を発表した。高経年マンションの増加と居住者の老いといういわゆる「2つの老い」問題を中心に、対応すべき課題を整理する。28日から法務省で始まる区分所有法の改正に向けた本格的な議論と車の両輪を成すものと位置付け、マンション政策を所管する国交省にも検討会を設ける。

 新たに設置するのは「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」(座長=浅見泰司・東京大学大学院工学系研究科教授)。初回会合を31日に開催し、23年夏頃に検討会としての取りまとめを行う予定。斉藤大臣は「マンションの管理や修繕、再生などの施策について総合的な検討を行うことにした。我々のマンションの実体的な課題を、(区分所有法の改正議論と)車の両輪で議論していくことが重要だ」と、検討会設置の背景を説明した。

 深刻な問題となっているのが、マンションの建物と居住者の「2つの老い」。国交省の調査では、築40年以上のマンションは21年末で115・6万戸あり、20年後には425・4万戸まで増加する見込み。1970年以前に建てられたマンションの入居者は、18年時点で53%が60歳以上だけが暮らす世帯になっている。

 検討会では、マンションを取り巻く現状と課題を整理し、建替えが必要なマンションの再生をより一層円滑化させることや、修繕積立金の安定的な確保、長寿命化するための取り組み強化などを総合的に検討する。法務省の法制審議会は28日に審議会内に区分所有法制部会を立ち上げ、建替え要件の緩和などの議論を本格的に始める。

2022.11.04