
東大の不動産イノベ研が設立シンポ開催
─レインズの情報活用など研究PJを発表
東京大学の不動産イノベーション研究センター(センター長=柳川範之・東京大学大学院経済学研究科教授)は18日、発足を記念したオンライン・シンポジウムを開催した。大手不動産会社や大手物流会社、不動産関連団体、国土交通省が協力。マーケットの実態に即した不動産政策の提言と、新たなビジネスモデル構築を目指す研究機関で、シンポジウムでは今後の具体的な研究プロジェクト案が示された。
研究プロジェクト案に、「我が国不動産市場の基盤となる不動産情報の効果的集積と提供手法の検討」が盛り込まれた。米国ではMLS(米国不動産情報システム)からビッグデータの解析が進み、そこから新たな不動産サービスも生まれつつある。一方、日本のレインズデータは個人情報保護に配慮する必要があり、米国のようなデータ活用は容易ではない。そこでレインズ、宅建業者、データ事業者を含めた検討体制をセンター内に構築し、レインズの情報充実と、一定のルールで必要な開示を行う枠組みの確立を目指す。
日本独自の不動産テックのヒット商品が少ないことから、「不動産イノベーター」を発掘し、不動産以外のイノベーションや実務家・消費者とつなげるプラットフォームの提供も研究する。密集市街地・老朽ストック解消等の都市環境改善に向けた新たな合意形成・権利調整のあり方の検討なども進める。 センター長の柳川教授は「コロナを契機にデジタル化が一気に進む。データを把握することが可能になると同時に重要度が高まる。不動産が、大きなデータ分析装置となり、その分析がこれからのビジネスモデルを大きく変える」と新たな変化の研究に意気込んだ。
2020.05.22