国交省、不特法改正案20年度中に作成へ

―規制対象やESG対応の方向性を示す

 国土交通省は、20年度中に不動産特定共同事業法と関連法令の改正案を作成する方針だ。その土台として、「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会」が、不動産特定共同事業(FTK)の今後の方向性をまとめた。FTK法の対象とすべき区分所有不動産投資契約を規定することや、ESGの情報開示ガイダンス策定などを検討していくことが盛り込まれた。

 検討会が昨年9月から3回にわたり議論した内容の中間とりまとめを公表した。ESG投資を踏まえた対応を目指し、FTK事業の適切なガバナンスの確保、不動産と社会の関わりをとらえた規制の適正化、トークンの取り扱いの3点を検討課題に取り上げた。

 ガバナンス確保の観点から、区分所有建物を投資家に小口販売し、一括借り上げ後、転貸して建物全体の賃料をプールし分配する事業について規制対象とすべきか検討する。この形態は現行法では明確に規定された契約種別ではないものの、FTK契約に類似するもので、投資家保護の必要性が高いことから規制を検討する。ただ、区分所有権の転貸までFTK契約とすると、規制の対象が広がりすぎる懸念があり、一定の共同事業性がある契約に限る方向。

 また、積極的にESG情報の開示に取り組むFTK事業者を支援するためガイダンス策定も検討する。開示が推奨される内容は、▽ESG方針の有無とその内容▽ESG課題に関する責任者▽ESG課題の経営陣への報告プロセスの有無やその内容・報告頻度▽ESGに関する基準等の採択や認証取得の状況―を挙げた。トークンについては、トークンによる資金調達に限定せず、新技術の動向について必要な制度措置を順次実施することとしている。

2020.05.15