不動産登記と取引、オンライン化を加速

─政府、日本の事業環境の世界順位改善へ

 政府は日本の事業環境改善に向けて、分野別の取り組みを更に進める。不動産関係では、登記と取引のオンライン化・ペーパーレス化を一層推進する方針。不動産登記の際に本来は提出不要な書類が慣行を理由に必要とされている状況を改善する。不動産取引での書面交付・対面・記名押印に関しても取り組み方針を検討していく。  政府は世界銀行がまとめているビジネス環境ランキングで、日本が20年に先進国3位に入ることを目標としてきた。16年に26位だった順位は19年に18位まで改善したが、目標達成は困難な状況にある。

そこで政府が20日に開いた「事業環境改善のための関係府省庁連絡会議」では、一層の制度改善を進め、目標を「30年にG20で1位」に改めることとした。

 世界銀行の報告書では、不動産登記に関する手続数のほか、不動産売買で必要な手続き(書面契約の場合の収入印紙)が評価対象となっている。不動産登記手続きでは、登記事項証明書の添付省略に加え、異なる法務局間で法人の印鑑証明書の添付を不要とする制度改善が3月30日に実施された。法務省と総務省は今後、ペーパーレス・オンラインで完結する不動産登記実現のため、登記時に慣行となっている固定資産評価証明書の取得・提出をなくす方針。20年度中に、土地情報連携の高度化の取り組みとも連携しつつ、固定資産税納税通知書の活用などの方策を検討する。

 不動産取引では、国土交通省が実施中の売買取引におけるIT重説の社会実験を継続する。賃貸取引の重要事項説明書等の書面電子化についても社会実験のガイドラインを改訂し、20年度末までに進捗状況を検証することが盛り込まれた。

2020.05.01