
投資家はESG投資に「不動産価値への影響」を期待
~日本不動産研究所の調査結果から~
日本不動産研究所は、不動産のESG投資について集う不動産投資家の認識を調査したアンケート結果をまとめた。19年4月1日時点。不動産投資家のESG投資に対する期待は、「不動産価値への影響」とする回答が最も多く、将来的な収益性の向上を期待する声が多かった。ESGに配慮した不動産とそうでない不動産の賃料収入について、現在は「特に違いはない」の回答が8割超で最も多かったが、10年後は「1~5%程度高い」が6割で最も多かった。期待利回りについても同様に聞いたところ、現在は「変わらない」が8割で最も多く、10年後は「10bp低い」が4割超で最も多かった。同調査は第40回不動産投資家調査の特別アンケートとして実施され、アセット・マネージャー、アレンジャー、デベロッパー、生保、レンダー、投資銀行、年金基金など198社にアンケートし、118社から回答を得た。
ESG投資に適した不動産の賃料収入は、そうでない不動産に比べてどの程度違いがあるか、あると思うかを聞いたところ、現在は「特に違いはない」が84.6%、次いで「1~5%程度高い」が11.5%で続いた。10年後は「1~5%程度高い」が60.6%で最も多く、「特に違いはない」が24.0%で続いた。 不動産のESG投資において具体的に実践していることを聞くと、「環境性能に配慮した不動産運用」が71.1%、「環境性能に関する第三者認証の取得」が55.4%、「働く人の件構成や快適性に配慮した不動産運用」が53.0%。ESG投資に適した不動産に投融資する場合、そうでない不動産への投融資に比べてどんなことを期待しているか聞いたところ、「不動産価値への影響」が最も多く、大きく離れて「IRへの影響」「賃料単価への影響」「リーシングへの影響」と続いた。
ESG投資に適した不動産の賃料収入は、そうでない不動産に比べてどの程度違いがあるのか聞いたところ、「特に違いはない」が84.6%で最も多いが、10年後は「1~5%程度高い」が最も多く60.6%。同様に賃貸事業コストの違いを聞いたところ、「特に違いはない」が50.5%で最も多く、「1~5%程度高い」が28.7%で最も多かった。期待利回りは「変わらない」が80.8%、10年後は「-10bp」が45.2%でそれぞれ最も多かった。最後に不動のESG投資がさらに普及するためにはどのようなことが必要か聞いたところ、「オーナー・テナント・金融機関・投資家等の意識改革」が26.4%、「不動産価値の向上」「国や自治体による補助・減税制度」がそれぞれ24.5%と続いた。
回答者の属性は、国内系が92.4%、外資系が7.6%。そのうち、Jリートが24.3%、デベロッパーが16.5%、私募ファンドが13.9%と続く。投融資対象として最も中心となるアセットタイプはオフィスが最も多く47.3%、次いで「すべての複合」が20.5%だった。投融資の期間は10年以上が50.9%、5年以上~10年未満が28.9%、投融資スタンスはコアが83.3%だった。82.6%が国連の責任投資原則への署名機関、69.1%が2017年度のGRESB調査に参加している。
2019.08.30